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「この頃都に流行る物」


  人間には肉体がある。肉体は永遠ではなく、いつかは滅び、命が尽きる。時間には限りがある。当然ながら、命が尽きれば、その人間自身が社会で活動することはできなくなるわけであり、そのため、人間は、自分の命数を指折り数えながら、死ぬまでの間に何ができるのかと思考する。自分が死んだ後の社会について自分自身は関与できないのであるから、普通は、死後の社会について真剣に思いをはせることはない。人生100年とすれば、20歳の若者は80年先までのことを思うが、90歳のお年寄りは10年先まで思いが至るかどうかということになる。

 

 

  人間には肉体があるため、欲望が生まれる。性欲、食欲、睡眠欲等。寝なければ身体がもたないので、1日のうちの少なからぬ時間眠ることになる。無尽蔵に活動することなどできない。食べなければ肉体を維持できないので、1日にそれなりの量の食べ物を食べる。食べることには快楽が伴い、美味しいものを食べたり飲んだりしたいと欲することになる。性欲も生理現象であり、いわずもがな、やむを得ない。

 

 

  人間には感情がある。負の感情が大きければ人生に満足を得られないため、正の感情を大きくしたいと望む。感情は、自分を脇に置いたときに正しいか正しくないかということとは無関係であり、往々にして、たとえ正しくないことであっても、感情が満たされることを優先させることになる。
 

 

 

 

 

 

  片や、人間には肉体があり命に限りがあるために、その命尽きるまで精一杯生きることになる、ともいえる。

 

 

  また、人間には肉体があるため、その肉体を維持するために経済活動を行い、金銭を生み出す、金銭が生まれるということは、(違法行為や純粋な投機行為によるのでなければ、)世の中に価値を提供しているということであり、社会を豊かにしている、ともいえる。欲望は、さらに金銭を生み出そうというインセンティブとなり、価値の増幅、社会の発展につながる、ともいえる。

 

 

  そして、感情は、時に、頭でっかちでは説明がつかない価値を人間と社会に与えることがある。効率性や合理性の追求が人間の活動の大半を占めるような世の中においては、なおさらである。
 

 

 

 

 

 

  経済活動やその他の社会的な活動は、人間が自らのために行っているもののはずだが、効率性や合理性の追求というのは、人間の限界や矛盾の克服、人や社会の革新、といえば通りがよいが、行き着く果ては、人間の否定、ということになりはしないだろうか。世界において人間が主である必然性はないといえばそれまでではあるが、果てまでは見たくはないと思う。

 

 

(4JKJ)

更新日2018.2.19


改正民法における法定利率


1 現行民法は,法定利率を年5%と定めており(404条),また,商法514条は,商行為によって生じた債務の法定利率を年6%と定めています。

 

  以上の年5%あるいは年6%は,法律の制定当時(いずれも明治時代)から変更がありません。

 

 

 

 

 

 

2 改正民法による利率の変動性の導入

 

 

(1)現在,市場金利は法定利率を大きく下回る状態にありますが,法定利率と市場金利とがかい離することにはかねてから批判があり,改正民法では,法定利率を市場金利に連動させる趣旨の規定が新設されました(利率の変動性の導入)。

 

 

(2)改正民法のルール(404条)は,次のとおりです。

 

  ア 改正民法施行時の法定利率は,年3%とする(同2項)

 

  イ 法定利率は,3年を1期とし,1期ごとに変動する(同3項)

 

  ウ 各期における法定利率は,法定利率に変動があった期のうち直近のもの(直近変動期)の「基準割合」と,当期における「基準割合」との差(1%未満は切捨て)を直近変動期の法定利率に加減する方法による定める(同4項)

 

  エ 「基準割合」とは,各期の初日の属する年の6年前の1月から,前前年の12月までの各月における短期貸付けの平均利率(各月に銀行が新規に行った,貸付期間が1年未満の貸付けに係る利率の平均)の合計を60で除して計算した割合として法務大臣が告示するものをいう(同5項)

 

 

(3)以上のとおり,改正民法の施行に伴い,まず,法定利率は現在の年5%から年3%に変更されます。

 

   その上で,3年単位で利率が変動することになりますが,前項ウのとおり,直近変動期の「基準割合」と,当期の「基準割合」とに1%以上の差がない場合,法定利率は変動しません(「直近変動期」という概念自体,法定利率の変動がない場合があることを前提としています。)。また,1%未満の「基準割合」の差は切り捨てられますので,法定利率の変動は1%刻みになります。

 

 

(4)なお,民法改正に伴い,商法514条は削除され,以後の法定利率は,民法のルールに一本化されます。

 

 

 

 

 

 

3 法定利率の適用の基準時等

 

 

(1)利率の変動性が導入されたことに伴い,何時の時点の法定利率を適用すべきか(適用の基準時),また,債権の存続中に法定利率の変動があった場合に,変動後の利率を適用すべきか(完全変動制の導入の是非)が問題になります。

 

 

(2)適用の基準時に関し,改正民法は次のような規定を設けました。

 

 

  ア 利息を生ずべき債権について,別段の意思表示がないときは,その利息が生じた最初の時点における法定利率による(404条)

 

 

  イ 金銭債務の損害賠償額について,債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める(419条)

 

    例えば,不法行為を理由とする損害賠償債務の遅延損害金については,「遅滞の責任を負った最初の時点」(419条)である不法行為時の法定利率が適用されることになります。

 

 

(3)次に,完全変動制の導入ですが,法制審議会の議論では,その採用が検討されていたものの,事務負担の大きさや,判決や執行の実務に影響を与えることが懸念され,結局,導入は見送られています。したがって,債権の存続中に法定利率の変動があっても,当該債権に適用される利率は変動しません。

 

 

 

 

 

 

4 中間利息控除

 

 

(1)交通事故等の不法行為を理由とする損害賠償債務に含まれる将来の逸失利益を現在において一時金で支払いを受ける場合,一定の利率で割り引いて現在価値を算定する必要があります(中間利息控除)。現在において,将来得られる利益全額の支払いを受けると,将来の時点までの運用益(中間利息)を余分に得ることになると考えられるためです。

 

 

(2)現行民法に中間利息に関する規定はありませんが,判例上,中間利息の割合は法定利率によるものとされています。

 

   改正民法では,中間利息の割合を「その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率」とする規定が新設されました(417条の2)。したがって,中間利息の割合は,法定利率に伴って変動します。なお,同条は,不法行為の場合にも準用されます(722条)。

 

 

(3)なお,日本損害保険協会は,交通事故等により扶養家族のある27歳男性(賃金月額41万5400円,就労可能年数40年と仮定)が死亡した場合の逸失利益の額について,中間利息の割合が年5%の場合は約5560万円である一方,年3%の場合は約7490万円になると試算しています。このように,中間利息控除に適用される法定利率の割合によって,賠償額に大きな変更が生ずることが予想されており,将来,法定利率の変動に伴い支払保険料の額が見直される事態も想定されます。

 

 

(弁護士 62期 山 崎 悠  士)

更新日2018.2.19


「国宝」のリスク管理

 

  見渡すと,気分の重くなる新年のスタートである。

 

 

 

  人間は,すぐそこに己の存在そのものを脅かす大変な危険が迫っていてもとんと気付かぬものである。見たいものしか見ようとせず,聞きたいものしか聞こうとしないのが人間であってみれば,当然の帰結ではある。それは民族や国という単位に広げて見ても,人間の集まりである以上変わるところはない。現実にきちんと対峙することを厭い,根拠もないのに,真面目に日々を送っていれば人生は悪いようにはならないだろう,とノー天気に日々を送る生き方は,いずこの国であれ大衆に共通ではあるが,我々日本人には,その傾向が相対的に強く,自らの責任で,明日を生き抜くために失ってはならない資産を守る危機管理意識は取りわけ乏しい。

 

 

 

  危険に脅かされているわが国の宝となる資産はたくさんある。その価値は失う側から量るのと,これを手にする側から量るのとでは,その評価値は何倍も違ってくることは珍しくない。今回は,そのような日本の優れた資産をいくつか挙げてみたい。以前,日本に帰化したイギリス人のCWニコルという人(私には自然科学者の印象が強い)が,NHKのラジオ深夜便のトークコーナーにゲスト出演し,述べていたことを私なりに解釈して引用する。

 

 

 

  ニコル氏は,自身の帰化の理由が3つあるとして,第1に日本には言論の自由があることだと言う。日本人は,言論の自由がないようなことを言う人がいるが,日本ほど何の制約,不安もなく自由に発言できる国はないと述べる。

 

 

 

  第2が宗教の自由というか,宗教からの自由があることだと言う。どんな宗教を選択するかという観点からの自由の保障があることはもちろん,最も凄いことは,何の宗教を信仰しなくても,およそ宗教に無関心であっても,いかなる非難も制裁も被ることがない,そういう自由が存在することであると言う。国によっては,宗教の自由を認める一方で,無宗教者を罰する国家も存在する。この宗教の自由の重みも,日本人は格別感じてはいないようであるが,一神教の国家,社会あるいは民族に生まれ育った人間からすると,およそ身体の中に存在しなかったことで,にわかには信じられないことであり,この自由の恵みは心の底からの開放と感じると述べていた。同じようなことを,かつて,再統一前の西ドイツのハンブルグ大学に奉職するドイツ人の哲学研究者からも直接聞いたことがある。

 

 

 

  そして,第3に,自然が豊かに存在することであるという。この点でも,ニコル氏は,日本には自然がないと卑下した自己評価を耳にすることがあるが,ヨーロッパには日本ほど自然が豊かに残っている国はないと言う。山には清らかな水が無尽蔵に湧き,里山があって,そこをちょっと山に入れば,イノシシ,鹿,熊(熊には感嘆の声を上げていた。),その他の動物が生息しているが,イギリスにそんなところはない。イギリスはかつて全土の森を伐採してしまっており,現在の森はその後に人工的に造り上げたものであると言う。

 

 

 

  日本民族は,日本列島という太平洋に面した絶海の孤島で,1万年を遥かに超える長い年月をかけてこのように優れて特長のある民族性,生存環境という国宝というべき資産を形成し,社会そして国として進化を遂げてきた。その大本となる原因を特定するのは困難であろうが,私は,我が祖先たちは,人間を自然界の支配者とおごらず,自分たちも自然の一部として森羅万象と折り合いをつけて生命の営みを織り紡いできた生き方が基層文化となってもたらした結果といえるように思う。ところが,このところ,そのような日本の誇るべき大切な資産の保持に対する侵奪の危機が加速的に迫っているように危惧される。近時のグローバル化を牽引する近隣覇権大国の急成長である。

 

 

 

  グローバル化は目新しい言葉ではないが,従来の社会,経済活動にとどまらず,近年,近隣の覇権大国が個人の自由を凍結し,国を一個の企業体と化して巨大な経済大国に急成長し,国際情勢の予期せぬ変動等も加わって,グローバル規模で政治,経済の頂点に立とうかという大国にのし上がろうとしている現象は,わが民族の最高資産である「個の自由」等にとってこれ以上ない脅威である。 

 

 

 

  元々グローバル化は,強者が利己的遺伝子の働きのままに弱者を淘汰していくという強者の生存活動を本体とする。そこに,上記資産を保有するおいしい日本をソフト(民族)及びハード(領土)併せて居抜きで支配下に置きたいと喉から手が出るほど欲している覇権大国に露骨に迫られる今,その餌食とならず,上記の大切な国宝資産を保持する独立主体としてしたたかに生き延びるにはどのような手立てがあるのだろうか。このようなあからさまな利己的な遺伝子の他者を顧みない生き残り合戦にあって,他国頼みは当てにならない。真否の見極めもつかぬ情報の洪水に翻弄されながらも,眼をつぶれば嫌な世界が消えていく的な平和な日々に安穏としているうちに,気が付けば居抜きで近隣覇権大国の支配下に置かれているかもしれないわが国の数十年後の姿を想像するとぞっとするし,その時代に生きることを強いられる後輩達に申し訳けが立たない。

 

 

 

  そのようなおぞましい将来の到来を阻止するのはもはや容易ではないが,そうだからといって,歴史を顧みれば,短兵急に武装に頼るのでは能なしの再現である。幸い,わが民族には,脈々と流れる自由の価値を知る高い民意度があり,これを基層に,今を生きている我々がそれぞれの立ち位置において,根本から意識改変をし,どのような国家体制を含めた生存環境を後世に残したいか,可能かを熟考し,事柄の軽重及び事実を見極め,少なくともこれらを見極めるべく日々の努力を重ね,その上で各人が引き受けている範囲についてはバランスの取れた行動を粘り実践していくしかないであろう。それで何かが保証されるものではないが,それ以外に,未来に希望の光を見いだすことはできないように思う。根拠の定かでないインターネットやマスコミ情報の洪水に溺れ,流されることなく,自らが責任を取るべき範囲のことについては,自分の頭で考え,行動することが必要であろう。

 

 

 

  新年を迎え,まずはこの1年,今の自分にできることは何かを改めて考え,これを果たしていこうと自戒している次第である。

 

B.H


更新日2018.1.31

  


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