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企業の海外進出とリスク管理責任の重圧

 

1 グローバル化の波に巻き込まれるように,日本企業の海外展開が盛んである。中でも,東南アジアには多くの日系企業が新たなビジネスチャンスを求めて進出している。こうした中,私は,近時,某社の社外役員の業務としてインドネシアの首都ジャカルタで事業展開する子会社を訪問する機会があり,駐在役員,合弁パートナーのインドネシア人役員,提携先の駐在弁護士(日本の大手弁護士事務所所属弁護士),取引銀行駐在員諸氏と面談し,当地において日系企業が事業展開する上での問題点に関して事情を伺い,意見交換をし,多くの貴重な積極,消極の情報に接することができた。

 

 

 

 

 

 

2 中でも私が大きな衝撃を受けたのは,インドネシアの法整備の遅れであり,それ故に司法制度が紛争解決機能を果たしていないことであった。私法秩序の基本となる民法でさえ,1940年代までのオランダ統治時代の民法が原語のまま現行法とされており,統一訳も公権解釈もなく,判例法理の形成もないまま,各裁判官の正に自由な裁量に委ねられているのが現実であるという。ちなみに司法制度を支える法曹資格の取得は,裁判官は国家試験によるが,弁護士に国家試験はなく,弁護士会主宰の弁護士会入会試験に合格すれば足りる。

 

 

 

  このような未成熟な司法制度の下では,権利の実現は勢い権利者の自助努力(自力救済)に委ねられる傾向となってしまう。例えば,インドネシアでは,庶民必需の交通手段である自動二輪車(通称バイクで,125ccがほとんど)を目的物とするバイク・ローン(所有権はユーザーに取得させ,与信担保として車検証原本をファイナンサーが保管する。)が商品化され,浸透してきている。ところが,残念なことに,諸事あってユーザーがローン返済中に,車検証を偽造してローンバイクを第三者に売却(担保権侵害)する等の「事故」が日常的に発生する。その場合,契約によれば,ファイナンサーは目的物のバイクを引き上げ,これを売却処分して代金を残債務に充てることができる。日本ではこのような債権回収は,裁判制度による引渡断行仮処分を介して実現されることが通例で,いずれにしても自力救済は許されない。しかし,インドネシアではこの権利実現を裁判手続に求めることはせず,自力救済によらざるを得ないことになる。そして,その折に,警察に担保権侵害を届け出るとともに,若干の手数料を支払えば,警察が回収に協力してくれることを期待できるのだという。

 

 

 

 

 

 

3 上記のような事故事例の実態は公にはされていないが,要するに,金銭(賄賂)を払って,警察力を利用して自力救済を図っているのにほかならないから,小さくない問題をはらんでいる。こうした自力救済の放置は,贈収賄,従業員による不当な利益供与による取引,横領等の犯罪行為や,時には不幸な死傷事故の発生などにつながりかねないことは容易に予測できることである。

 

 

 

  そこで,インドネシアでは,贈収賄,会社不祥事の頻発を背景に,これらに関して,法人処罰をもって臨む最高裁規則が平成28年12月に制定されるに至っている。同規則によれば,外資系法人も,裁判官に有責と判断されれば,罰金,被害者からの賠償請求,会社解散等が,また,解散後には経営陣の責任追及も制裁として科されるのであり,外資系企業の責任追及の法体制が整備されたとみることもできる。むろん,裁判所においてかかる制裁手続が賄賂など働く余地なく,公正に運営されるのであれば,好ましい法整備の進展である。

 

 

 

 

 

 

4 インドネシアは,いわゆる実体経済が飽和点に達している経済先進国にとっては,ビジネスチャンスに溢れる魅力的な進出エリアである。しかし,同時に,国家統治システムの要である法及び司法制度は著しく不備であり,政治,経済は財閥系の人脈の影響が強く働いており,日本の感覚からすれば,法治国家というには余りにも未熟という現実があること及びこれがもたらすリスクの管理を軽視してはならない。

 

 

 

  上記の自力救済に伴うリスクはほんの一例であり,あらゆる局面で,いつ,いかなる契機でいかなる紛争が発生するか予測困難なところがあり,かつ,いったん紛争が生じれば,その解決は容易ならざる事態に発展する恐れをはらんでいる。従来の延長で自力解決を求めようとすれば,賄賂を含む不法,不合理な金銭支払の負担を強いられるにとどまらず,上記法人処罰の最高裁規則の発動(公平性の信頼への疑問も払拭できない。)による致命的制裁(解散,経営陣の責任追及)を受ける事態も想定しておかなければならない。役員は,事業の遂行に当たっては,全方位にアンテナを張り巡らせ、常に緊張感を持ってリスク管理に徹しなければならない。

 

 

 

 

 

 

5 以上を踏まえてみると,業務形態により一様ではないものの,内部統制システムの現地仕様の構築,多様な人材の確保と教育・養成,賄賂提供等不祥事発生の態様の分析を踏まえ,業務遂行現場における従業員による具体的な犯罪防止体制の構築,コンプライアンス教育の徹底等の早急な実践が求められる点は共通であり,そして,これらは,私が日本の会議室で抱いていた想像をはるかに超え,かつ,その実践は容易なことではない。しかし,これらを怠り,不祥事が発生し,企業に損害を与えるような事態となれば,役員の責任は重大であり,株主代表訴訟等の責任追及を受けることは必至である。

 

 

 

  このような感想を抱き,改めて日系企業がインドネシアその他の東南アジアエリアに進出して成功を収めるために投ずべきヒト・モノ・カネは生半可なものでは足りないことを痛感し,役員が負うリスク管理責任の重圧を思い知らされた次第である。

 

 

(客員弁護士 藤 村   啓)

更新日2018.8.15


「かわいいだけじゃ生き残れない」


  本当に個人的な話なのですが,最近,注目しているマスコットキャラクター(ゆるキャラ?)が2体(2匹?)ほどいます。

 

  名前はというと,1体目が「つば九郎」で,2体目が「ちぃたん☆」です。

 

 

 

 

 


  1体目のつば九郎については,既に多くの方がご存知だと思われますが,ヤクルトスワローズのマスコットキャラクター(1994年以降)で,背番号は「2896」です。このつば九郎ですが,何が面白いかというと,なんといっても彼の自由奔放さ,腹黒さ,破天荒さです。インターネット上の動画サイトなどを見ると,球場で一般の方が撮影された動画が複数上がっており,それらを見ていただければ彼の面白さはすぐご理解いただけるでしょう。一例を紹介すると,例えば,チアガールのお姉さんたちが踊っている横で踊りの邪魔をしたり,ポンポンを奪い取って投げ捨てたり,審判団がバッターボックス付近で打合せしているのに混じってみたり,中日ドラゴンズのマスコットキャラクターである「ドアラ」とともに,わけのわからない踊りを披露したりと,何をしでかすかわからず,見ているものを飽きさせない魅力があります。また,彼の会話は,画用紙に文字を書いて行うのですが,その受け答えのセンスの良さも魅力の1つでしょう。

 

 

 

 

 


  次に,2体目のちぃたん☆については,あまりご存じないかもしれませんが,公式ホームページによれば,秋葉原出身のコツメカワウソの妖精だそうで,高知県須崎市観光大使に任命され,ユーチューバーとしても活動中だそうです。私が最初にちぃたん☆を知ったのは,深夜のバラエティー番組でちぃたん☆が紹介されていたからなのですが,彼(否,公式ホームページによれば妖精で性別はないとのことで「この子」が正しいですね。歳は永遠の0歳だそうです)は,その名前や見た目の可愛さからは想像もできないくらい,体を張ります(実際,私がみた番組でも,体を張るゆるキャラということで紹介されていました)。是非見ていただきたいのは,この子の公式Twitterであり,冒頭のカバー写真からゆるキャラらしからぬ写真が載っています(本日現在。どんな写真かは,見てのお楽しみです・・・)。このほか,ちぃたん☆の体を張ったツイートの一例を照会すると,倒れない棒に向かって全力で殴る蹴る等の行為を行ったり,滑り台から思い切り転げ落ちてみたり,前方伸身宙返り2回ひねり後方屈身宙返りに挑戦してみたりと(そんな技があるのかは不明ですが,当然,失敗しています),見ていただければきっと興味を惹かれると思われます。

 

 

 

 

 


  マスコットやゆるキャラといえば,少し前まではかわいいキャラクターがうけていたと思われますが,今やそんな時代は終わったといえます。実際,ちぃたん☆のTwitterのフォロワー数は本日時点で約68万6000人と,多くのファンがいることが確認でき,今後も各キャラの動向には,今後も注目していきたいと思う次第です。

 

 

 

(サイドマウンテン)

更新日2018.7.17


IT化の条件



  私は、これまで、いわゆる3大キャリアのうちの1社と契約してアイフォンを利用していたのですが、料金が割高に感じていました。そんな折、自宅で利用しているケーブルテレビの運営会社が、ケーブルテレビの顧客向けにスマートフォンのサービスも提供していることを知り、その会社に契約先を切り替えることにしました。

 

 

  具体的には、現在利用しているアイフォンと電話番号はそのままに、アイフォン内のSIMカードをケーブルテレビの会社のものと交換したのですが、その一連の手続の中で思い知らされたのが、自分のITリテラシーの低さです。

 

 

  例えば、ケーブルテレビの会社と契約する際に、データ通信量ごとに料金が異なりますが、「データ通信量」が何なのか分からない(アイフォンを最初に契約した際にも、データ通信量で料金を選択したのかもしれませんが、そんな昔のことは覚えていません。)。これまで使用していたメールアドレスが使えなくなることとの関係で、これまで使っていたアイフォンの「メッセージ」と、いわゆるショートメールの違いが分からない。家族と無料で通信するために、LINEをダウンロードして使えるようになるのに四苦八苦する。

 

 

  一番驚いたのは、アイフォンを利用する際のID登録を確認していたところ、アップルのクラウドサービスに、いつの間にか、自分のアイフォン内のデータをアップロードしていたことに気付いたことです。もちろん、よく分からないまま自分で操作した結果なのですが、IT機器を利用する上で、いかに「自分が何をしているのか分からない」状態となってしまうかを痛感させられました。
 

 

 

 

 

 

  さて、平成30年3月30日、政府の「裁判手続等のIT化検討会」から、「裁判手続等のIT化に向けた取りまとめ」が公表されました。

 

 

  これは、諸外国と比較してもIT化が遅れているといわれる我が国の民事裁判手続について、裁判書類の電子情報によるオンライン提出(e提出)、裁判所が管理する事件記録や事件情報の電子化(e事件管理)、裁判期日におけるテレビ会議やウェブ会議の活用の大幅拡大(e法廷)という「3つのe」の観点から、IT化の実現を図っていくべきであるという提言です。

 

 

  確かに、世間のIT化の進行と比べると、民事裁判の旧態依然とした実態はお寒い限りであり、紙媒体の偏重に象徴されるその強烈なアナログぶりは、普段裁判所に出入りしている我々弁護士にも、現代社会との隔絶を強く感じさせます。

 

 

  このままでは、民事裁判は、早晩、制度インフラとしての利便性や有用性に見切りをつけられ、世間から見放されてしまいかねない状況であり、そのような中、IT化を図るべきであるという提言の基本的姿勢には、何ら異論のないところであろうと思われます。
 

 

 

 

 

 

  しかし、私個人に関していうと、スマートフォンの一件以来、民事裁判のIT化が必要だなどと考えるのも、実は、そのIT化に自分が弁護士として対応できることを前提としているのではないか、と感じるようになってきました。

 

 

  政府の提言がいうように、将来、民事裁判の全面的なペーパーレス化が実現された場合、自分がその変化についていけるかを想像すると、今となっては心もとない限りです。アイフォン内の写真を知らない間にクラウドにアップロードしてしまうならまだしも、弁護士業務の中で、相手方に見せるべきでない文書を誤って裁判所のシステムにアップロードし、相手方が閲覧できる状態にしてしまえば、それは紛れもない弁護過誤となるはずです。

 

 

  弁護士業務では、「自分が何をしているのか分からない」状態など許されないことは当然であり、今後ますます年齢を重ね、IT面での対応能力が低くなっていく自分が、民事裁判のIT化の実現段階になって、それにもろ手を挙げて賛成するだろうかという疑問や不安は否めません。

 

 

  とりあえずは、自分のスマートフォンの利用方法を理解することに努めようと思います。
 

 

 

抵抗勢力予備軍

2018.7.16


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