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小野総合法律事務所

我が家の女王様

 

  新年あけましておめでとうございます。本年が皆様にとって良い年であることを祈っております。

 

 

 

  
  最近、私は毎日飼い犬「モモ」の世話に振り回されています。

 

  朝起きたらまずモモが夜間寝ているゲージを覗いて犬用ベット及びその周囲のタイルカーペット、タオル等が濡れていないかを確認し、もし糞尿で汚れているようであれば清潔なものと交換します。また、モモは、私と妻の各寝室以外は我が家のマンションのどの部屋でも自由に出入りしていますので朝夕一度は各部屋を巡回してモモが粗相していないかを確認し、万一の場合はその始末をしなければなりません。そして、モモが汚した犬用ベット、タイルカーペット等々は毎日洗濯し乾かしてやらなければなりませんが、その量は半端ではありません。それ以外に、勿論朝晩はモモに餌と水を与えなければなりません。

 

  モモのためのこれら雑用は当初は私にとって苦痛以外のなにものでもありませんでした。たまたま、妻が転倒して骨折し右腕右肩が当分の間不自由になったため、やむを得ず引き受けたにすぎません。しかし、これまで2ヶ月以上モモの世話をしている間に何となく気が付いたことがいくつかあり、犬の世話も無駄ばかりではなかったと思えるようになってきました。

 

 

 

 

 
  後先になってしまいましたが、「モモ」のことを紹介します。モモは、現在17歳9ヶ月の雌のトイプードルです。生まれて2ヶ月の時に我が家で購入した犬です。その経過は、我が家で以前飼っていた柴犬が15歳で死んでしまい、私ども夫婦の年齢と犬の平均寿命を考えて次の犬を飼うかどうか迷っていたときに、次女から「私が世話をするからぜひ飼って」とせがまれて、つい飼うことになったのです。しかし、次女がモモの世話をしたのは約1年半程度で、次女にボーイフレンドが出来てからはモモの世話はもっぱら我々夫婦におっつけられてしまい、ついに次女は彼と結婚して家を出てしまい、モモは可哀そうに我々の家に置き去りにされてしまいました。

 

 

 

 

 
  その後、モモは主に妻が世話をする形で、これといった病気もすることなく我々夫婦のペットとして暮らしてきたのですが、数年前から白内障が徐々に進行して、初めは右の眼が、と、次には左眼が、だんだん見えなくなり散歩中に物にぶつかるようになってしまいました。それと同時に、嗅覚と聴覚も徐々に衰えてきて、声をかけても反応することが徐々になくなってしまい、最近では、自から嗅ぎ分けて餌を探すことが出来なくなっている様子で、口元まで近づけてやらないと餌だとわからないようです。

 

  犬にも認知症があるということを最近になって知りましたが、モモも同じ場所をくるくる回るように歩くことが多くなりました。

 

  外見的な変化としては、どんどん毛が抜け落ちて(プードルは毛が抜け変わらない犬種ときいていますが)両足や背中の骨が透けて見えて、若い時の姿を知っている我々にとっては可哀そうでしかたがありません。

 

  ただ、唯一の救いは、モモは今でも食欲が旺盛なことと、よろけながらも頑張って歩くことです。勿論、若い時と比較すると体重は約半分(現在は2,3?くらい)ですし、屋外の散歩は出来ません。

 

 

 

 


  私は、老犬となったモモの世話をしながら、だんだん情が湧いてきて、犬とはいえ生き物として生まれ、成長し、成犬としての役目を果たしたうえ、年をとって衰えてついには死んでいく、という過程は人間となんらかわりはないのだと思うようになってきました。そして、今のよぼよぼになった姿はこれまで病気もしないで長生きした(トイプードルの平均寿命は15,16歳らしいです)結果であって、褒めてやるべきことではないのかと思うようになりました。そうであれば、今しばらくの間多少の手間は惜しまないで最後までモモの世話をしてやって、眠るように死んでいってもらいと心から願うようになりました。

 

 

 

 


  この「雑記帳」の原稿を作りながら、数年前に、老衰のため103歳で他界した実母の在りし日を偲んでおります。

 

 

O

更新日2021.1.21

 


商魂


  まだCOVID-19がヒトへ感染していなかった(感染が認識されていなかった)1年半ほど前、エジプト旅行に行ったときのことである。観光地では、道行く外国人観光客らに土産品などを買ってもらおうと、片っ端から声をかける地元人をよく見かけた。

 

 

  観光客が相当数訪れる国であれば、どの国でも同様の光景はみられるのだが、観光業への依存度の高いエジプトは、その民族性なども相まってか、ひと味違った面白みがあった。

 

 

 

 

 


  よく見かけたのは、品物を見せながら「ワンダラー、ワンダラー」(1ドル、1ドル)と、どの国の観光客にも通じる英単語を使って声をかけるパターンである(ただし、1ドル程度が適正価格に見えるような商品であっても、実際に1ドルで売ることは絶対になく、観光客が興味を示して商談に入ると、20ドルくらいは平気でふっかけてくるので、注意が必要である)。このパターンは、ありきたりなので、すぐに「あぁ、またきたね・・・」と飽きてしまう。

 

 

 

 

 


  次に、少し工夫を凝らしたパターンとして、一目でどこの国の人間かあたりをつけ(ここまでは、エジプト以外の国でもよくある)、こちらが日本人だと思うと、「ヤスイ!」など簡単な日本語の単語を使って興味を惹くパターンである。

 

 

 

 

 


  また、少し進化したパターンとして「カカク ハカイ(価格破壊)!」「ヤマ モト ヤマ(山本山)!」など、外国人が使っていると少し面白いと思えるような日本語の単語を使って興味を惹くパターンもあった。このあたりになってくると、どこの国に行っても見かけるというわけではない。ただ、『山本山』のテレビCMが日本で頻繁に流れていた頃(JTBと日本人観光客が世界の観光市場を席巻した頃)に日本人が現地人に教えて広まったのか、エジプトでは比較的よく見かけるパターンとなっている。

 

 

 

 

 

 


  そんなエジプトでも珍しい呼びかけがあった。「ヤマ モト ヤマ!」「ヤマ モト ヤマ!」と連呼し、「また『ヤマ モト ヤマ』パターンか・・・」と思わせた後に、「ヤマモト・・・モナ」とつぶやくパターンである。「ヤマ モト ヤマ」に比べれば新しいが、絶妙に新しくない。これを聞いたとき、商品は買わないまでも、思わず笑ってしまった。

 

 

  この現地人に日本語を教えた人のセンスなのか、現地人が覚えた日本語を組み合わせて使っているだけなのかはわからないが、とにかく感心したことを覚えている。

 

 

 

 

 


  このほかにも、「アラシ、アイバ」と連呼するパターンなどもあったので、まだまだ進化を見せることだろう。

 

 

  いつかエジプトを再訪したときに、どのような呼びかけに出あえるのか楽しみにしている。

 



(海外に行けるようになるのは、だいぶ先ですね)

更新日2021.1.15


定期金賠償について(最高裁判所令和2年7月9日判決を中心として)


1.はじめに

 

 

 

 

  交通事故等の人身損害賠償請求訴訟における損害の賠償方法については,損害が不法行為時に発生することを前提として,将来具体化する損害についても,法定利率による中間利息を控除して,不法行為時点の価格に換算し直して一括で支払うことが一般的(いわゆる一時金賠償の原則)と考えられていました。

 

  もっとも,将来具体化する損害である後遺障害による逸失利益や将来介護費については,時間の経過によって事情が変化する可能性があることから,これらの賠償方法としては,一時金賠償ではなく,履行期ごと(例えば,毎月ごと)に一定額が定期的に支払われる方法(いわゆる定期金賠償)の方が望ましいとの考え方が従来からありました。

 

  また,後遺障害による逸失利益や将来介護費の賠償方法として,一時金賠償を採る場合,法定利率による中間利息が控除される結果,その分,大幅に減額となる一方,定期金賠償を採る場合,中間利息が控除されないことから,いずれの賠償方法を採用するかによって,賠償総額が大きく変わることとなり,被害者側と加害者側との間で,従前,これらの賠償方法が争われておりました。

 

  このうち将来介護費については,従来より,定期金賠償の対象とすることを認める裁判例が複数ありました(東京高等裁判所平成25年3月14日判決・判例タイムズ1392号203頁,福岡地方裁判所平成25年7月4日判決・判例時報2229号41頁)。

 

  このような背景事情において,最高裁判所は,令和2年7月9日判決において,後遺障害による逸失利益についても,定期金賠償の対象とすることを認めました。

 

 

 

 

 

2.最高裁判所令和2年7月9日判決(以下「本判決」といいます。)の内容

 

 

 

 

(1)事案の概要

 

 

 

  事案としては,交通事故によって,脳挫傷,びまん性軸索損傷等の傷害を負い,高次脳機能障害の後遺障害(自賠法施行令別表第二第3級3号)が残存した被害者(事故発生時4歳。事実審口頭弁論終結時15歳)において,後遺障害による逸失利益(100%の労働能力喪失)の定期金賠償(就労可能時である18歳から67歳まで毎月得られるべき収入額を毎月支払うこと)及び将来介護費の定期金賠償(症状固定時から被害者死亡時まで,想定される毎月の介護費用相当額を毎月支払うこと)を求めたものです。

 

  第一審及び控訴審ともに,将来介護費のみならず,後遺障害による逸失利益についても,定期金賠償を認めたことから,加害者側において,後遺障害による逸失利益に定期金賠償を認めたことについて,法令の解釈適用に誤りがあることを理由として,上告受理の申立てを行いました。
  なお,将来介護費の定期金賠償については,上告審で審理の対象となっていません。

 

 

 

(2)判示内容

 

 

 

  本判決は,定期金による賠償を命じた確定判決について,口頭弁論終結後に著しい事情変更が生じた場合に,その確定判決の変更を求める訴えを提起することを認める民事訴訟法117条の趣旨や,不法行為に基づく損害賠償請求制度が,被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価し,加害者にこれを賠償させることによって,被害者が被った不利益を填補して,不法行為がなかったときの状態に回復させることを目的とするものであり,また,損害の公平な分担を図ることをその理念とするところであること等を理由として,「交通事故の被害者が事故に起因する後遺障害による逸失利益について定期金による賠償を求めている場合において,上記目的及び理念に照らして相当と認められるときは,同逸失利益は,定期金による賠償の対象となるものと解される。」と判断しました。

 

  そして,本判決は,後遺障害による逸失利益について定期金賠償を認める場合の終期について,最高裁判所平成8年4月25日判決・民集50巻5号1221頁(交通事故の被害者が事故とは異なる原因で死亡した場合に,後遺障害による逸失利益を算定するに当たって,「特段の事情」がない限り死亡の事実を考慮しないと判示した判例です。)を引用したうえで,「上記後遺障害による逸失利益につき定期金による賠償を命ずるに当たっては,交通事故の時点で,被害者が死亡する原因となる具体的事由が存在し,近い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情がない限り,就労可能期間の終期より前の被害者の死亡時を定期金による賠償の終期とすることを要しないと解するのが相当である」と判断しました。

 

  つまり,事故発生時点で,重篤な疾病などによって被害者の死期が差し迫っていたような「特段の事情」がない限り,後遺障害による逸失利益を算定するに当たって,被害者が症状固定後に死亡したとしても,その死亡の事実を考慮せず,通常の就労可能期間(67歳まで)を定期金賠償の終期とするということとなります。

 

 

 

 

 

3.判例の検討

 

 

 

 

(1)このように,本判決は,後遺障害による逸失利益の定期金賠償を認めておりますが,第1項でご説明したとおり,後遺障害による逸失利益については,被害者の年齢や労働喪失率等如何によっては,定期金賠償又は一時金賠償のいずれを採用するかで,金額に大きな差が生じます。

 

 

 

  本判決の事案を例にすると,被害者の基礎収入を年額529万6800円,過失相殺で2割減額として月額35万3120円と計算し,平成32年9月から平成81年8月までの49年間,毎月35万3120円ずつの定期金賠償を認めていますので,後遺障害による逸失利益として賠償される総額は,約2億0763万円(≒35万3120円×12か月×49年)となります。

 

  一方,本判決の事案において,後遺障害による逸失利益が一時金賠償となった場合,中間利息(改正民法施行前の事故であるため,年5%の割合)が控除されますので(症状固定時15歳であるため,中間利息控除のための係数は,52年ライプニッツ係数?3年ライプニッツ係数=15.6949となります。),後遺障害による逸失利益として賠償される総額は,約6650万円に留まります(≒35万3120円×12か月×15.6949)。

 

  このように,本判決の事例で検討しても,後遺障害による逸失利益の賠償方法として,一時金賠償又は定期金賠償のいずれを採用するかによって,約1億4113万円と膨大な差が生じることとを確認することができます。

 

 

 

(2)そして,本判決は,後遺障害による逸失利益に定期金賠償が認められるか否かについて,被害者が定期金賠償を求めている場合において,不法行為に基づく損害賠償制度の「目的及び理念に照らして相当と認められるとき」に,定期金賠償の対象となることを認めていますが,この「相当」性の具体的な判断基準については,明らかにされていません。

 

 

 

  この点については,今後の事例の集積を待つこととなりますが,本判決において,定期金賠償を認めている事情として,被害者が「事故当時4歳の幼児」であること,「高次脳機能障害という本件後遺障害のため労働能力を全部喪失し」たこと,「逸失利益は将来の長期間にわたり逐次現実化する」ことなど,「被害者の年齢」,「後遺障害の内容」,「後遺障害の程度」(労働喪失率・想定される労働喪失期間)を考慮していることは,参考になるのではないかと考えます。

 

  私見ではありますが,少なくとも,後遺障害等級14級など,労働能力制限の程度が比較的軽度な後遺障害の事案や,100%あるいはそれに近い労働喪失率が認められる重度の後遺障害が残存したとしても,被害者の年齢が「高齢者」又は「高齢者に近い年齢」の事案などでは,後遺障害による逸失利益について,定期金賠償を否定する方向で判断するのではないかと推測しております。

 

 

 

(3)また,本判決は,後遺障害による逸失利益の定期金賠償の終期として,前述のとおり,被害者が症状固定後に死亡したとしても,その死亡の事実は考慮せず,通常の就労可能期間(67歳まで)を定期金賠償の終期とすることを認めておりますが,実際に,被害者が就労可能期間中に死亡した場合においても,加害者側は,被害者死亡後も,被害者相続人に対して,一時金賠償ではなく,定期金賠償を継続しなければならないかという問題が残ります。

 

 

 

  この点については,以下で述べる本判決についての小池裕裁判官の補足意見が参考になるかと考えます。

 

  「被害者の死亡によってその後の期間について後遺障害等の変動可能性がなくなったことは,損害額の算定の基礎に関わる事情に著しい変更が生じたものと解することができるから,支払義務者は,民訴法117条を適用又は類推適用して,上記死亡後に,就労可能期間の終期までの期間に係る定期金による賠償について,判決の変更を求める訴えの提起時における現在価値に引き直した一時金による賠償に変更する訴えを提起するという方法も検討に値するように思われ、この方法によって,継続的な定期金による賠償の支払義務の解消を図ることが可能ではないかと考える。」

 

  つまり,小池裕裁判官の補足意見は,加害者側において,民事訴訟法117条の変更判決制度を利用することによって,被害者死亡後に支払期が到来する定期金の支払いについて,法定利率による中間利息を控除して,判決の変更を求める訴え提起時の価格に換算し直すことを認めるというものであって,被害者死亡時から定期金賠償終期までの期間如何によっては,この制度の利用を試みても良いかもしれません。

 

 

 

(4)なお,本判決の事案は,交通事故ではありますが,判示された内容からすると,交通事故に限定されるものではなく,人身損害賠償請求訴訟全般に当てはまるものと考えられます。

 

 

 

  例えば,労働災害によって,重度後遺障害が残存した従業員が会社に対して,将来介護費のみならず,後遺障害による逸失利益についても,今後,本判決を基に,定期金賠償を求めてくる可能性も考えられます。

 

 

 

(5)また,本判決は,「後遺障害による」逸失利益について,不法行為の時から相当な時間が経過した後に逐次現実化する性質のものであることや,算定の基礎となった後遺障害の程度,賃金水準その他の事情に著しい変更が生じることなどの事情を考慮して,定期金賠償を認めたものであるため,「死亡による」逸失利益については,定期金賠償を認めた考慮要素が当てはまらず,私見ではありますが,従来通り一時金賠償によることになるものと考えられます。

 

 

 

 

 

4.今後の対応

 

 

 

 

  本判決は,後遺障害による逸失利益の賠償方法について,一定の場合に,従来の一時金賠償ではなく,定期金賠償を認めたものであって,今後の損害賠償実務に重大な影響を与えるものと考え,紹介させていただきました。

 

  被害者側の立場からすると,今後,残存した後遺障害の程度等によっては,後遺障害による逸失利益について,一時金賠償又は定期金賠償のいずれを求めるか,加害者側の支払能力等も考慮に入れて,検討することとなります。

 

  一方,加害者側(損害保険会社側)からすると,後遺障害による逸失利益について,被害者側から定期金賠償を求められた場合に,本判決の要件に照らして一時金賠償の方が適切である旨争うことが可能か否か検討するとともに,今後,定期金賠償の事案が増えることを想定し,定期的な賠償金の支払いや,被害者に対する定期的な状況確認に対応できる管理体制を整えておく必要があると考えます。  

 

 

(弁護士 60期 小 池 孝 史)

更新日2021.1.15


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