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「国宝」のリスク管理

 

  見渡すと,気分の重くなる新年のスタートである。

 

 

 

  人間は,すぐそこに己の存在そのものを脅かす大変な危険が迫っていてもとんと気付かぬものである。見たいものしか見ようとせず,聞きたいものしか聞こうとしないのが人間であってみれば,当然の帰結ではある。それは民族や国という単位に広げて見ても,人間の集まりである以上変わるところはない。現実にきちんと対峙することを厭い,根拠もないのに,真面目に日々を送っていれば人生は悪いようにはならないだろう,とノー天気に日々を送る生き方は,いずこの国であれ大衆に共通ではあるが,我々日本人には,その傾向が相対的に強く,自らの責任で,明日を生き抜くために失ってはならない資産を守る危機管理意識は取りわけ乏しい。

 

 

 

  危険に脅かされているわが国の宝となる資産はたくさんある。その価値は失う側から量るのと,これを手にする側から量るのとでは,その評価値は何倍も違ってくることは珍しくない。今回は,そのような日本の優れた資産をいくつか挙げてみたい。以前,日本に帰化したイギリス人のCWニコルという人(私には自然科学者の印象が強い)が,NHKのラジオ深夜便のトークコーナーにゲスト出演し,述べていたことを私なりに解釈して引用する。

 

 

 

  ニコル氏は,自身の帰化の理由が3つあるとして,第1に日本には言論の自由があることだと言う。日本人は,言論の自由がないようなことを言う人がいるが,日本ほど何の制約,不安もなく自由に発言できる国はないと述べる。

 

 

 

  第2が宗教の自由というか,宗教からの自由があることだと言う。どんな宗教を選択するかという観点からの自由の保障があることはもちろん,最も凄いことは,何の宗教を信仰しなくても,およそ宗教に無関心であっても,いかなる非難も制裁も被ることがない,そういう自由が存在することであると言う。国によっては,宗教の自由を認める一方で,無宗教者を罰する国家も存在する。この宗教の自由の重みも,日本人は格別感じてはいないようであるが,一神教の国家,社会あるいは民族に生まれ育った人間からすると,およそ身体の中に存在しなかったことで,にわかには信じられないことであり,この自由の恵みは心の底からの開放と感じると述べていた。同じようなことを,かつて,再統一前の西ドイツのハンブルグ大学に奉職するドイツ人の哲学研究者からも直接聞いたことがある。

 

 

 

  そして,第3に,自然が豊かに存在することであるという。この点でも,ニコル氏は,日本には自然がないと卑下した自己評価を耳にすることがあるが,ヨーロッパには日本ほど自然が豊かに残っている国はないと言う。山には清らかな水が無尽蔵に湧き,里山があって,そこをちょっと山に入れば,イノシシ,鹿,熊(熊には感嘆の声を上げていた。),その他の動物が生息しているが,イギリスにそんなところはない。イギリスはかつて全土の森を伐採してしまっており,現在の森はその後に人工的に造り上げたものであると言う。

 

 

 

  日本民族は,日本列島という太平洋に面した絶海の孤島で,1万年を遥かに超える長い年月をかけてこのように優れて特長のある民族性,生存環境という国宝というべき資産を形成し,社会そして国として進化を遂げてきた。その大本となる原因を特定するのは困難であろうが,私は,我が祖先たちは,人間を自然界の支配者とおごらず,自分たちも自然の一部として森羅万象と折り合いをつけて生命の営みを織り紡いできた生き方が基層文化となってもたらした結果といえるように思う。ところが,このところ,そのような日本の誇るべき大切な資産の保持に対する侵奪の危機が加速的に迫っているように危惧される。近時のグローバル化を牽引する近隣覇権大国の急成長である。

 

 

 

  グローバル化は目新しい言葉ではないが,従来の社会,経済活動にとどまらず,近年,近隣の覇権大国が個人の自由を凍結し,国を一個の企業体と化して巨大な経済大国に急成長し,国際情勢の予期せぬ変動等も加わって,グローバル規模で政治,経済の頂点に立とうかという大国にのし上がろうとしている現象は,わが民族の最高資産である「個の自由」等にとってこれ以上ない脅威である。 

 

 

 

  元々グローバル化は,強者が利己的遺伝子の働きのままに弱者を淘汰していくという強者の生存活動を本体とする。そこに,上記資産を保有するおいしい日本をソフト(民族)及びハード(領土)併せて居抜きで支配下に置きたいと喉から手が出るほど欲している覇権大国に露骨に迫られる今,その餌食とならず,上記の大切な国宝資産を保持する独立主体としてしたたかに生き延びるにはどのような手立てがあるのだろうか。このようなあからさまな利己的な遺伝子の他者を顧みない生き残り合戦にあって,他国頼みは当てにならない。真否の見極めもつかぬ情報の洪水に翻弄されながらも,眼をつぶれば嫌な世界が消えていく的な平和な日々に安穏としているうちに,気が付けば居抜きで近隣覇権大国の支配下に置かれているかもしれないわが国の数十年後の姿を想像するとぞっとするし,その時代に生きることを強いられる後輩達に申し訳けが立たない。

 

 

 

  そのようなおぞましい将来の到来を阻止するのはもはや容易ではないが,そうだからといって,歴史を顧みれば,短兵急に武装に頼るのでは能なしの再現である。幸い,わが民族には,脈々と流れる自由の価値を知る高い民意度があり,これを基層に,今を生きている我々がそれぞれの立ち位置において,根本から意識改変をし,どのような国家体制を含めた生存環境を後世に残したいか,可能かを熟考し,事柄の軽重及び事実を見極め,少なくともこれらを見極めるべく日々の努力を重ね,その上で各人が引き受けている範囲についてはバランスの取れた行動を粘り実践していくしかないであろう。それで何かが保証されるものではないが,それ以外に,未来に希望の光を見いだすことはできないように思う。根拠の定かでないインターネットやマスコミ情報の洪水に溺れ,流されることなく,自らが責任を取るべき範囲のことについては,自分の頭で考え,行動することが必要であろう。

 

 

 

  新年を迎え,まずはこの1年,今の自分にできることは何かを改めて考え,これを果たしていこうと自戒している次第である。

 

B.H


更新日2018.1.31

  


都心での大雪

 

この雑記帳を書いているのは、平成30年1月23日、東京都心に大雪警報が出て、20cm以上の積雪を記録した日の翌日です。

 

昨日は、午後から雪が降り始め、夕方には結構積もっていました。

 

電車が遅れたり、混雑で駅への入場規制がかかったりと、帰宅するのに影響が出た人も多かったようです。

 

幸い私は、電車が少し遅れていた程度で、無事帰宅できました。

 

 

 

 

 


それにしても、雪道は歩きにくいですね。

 

滅多に雪が降らない場所では、除雪の設備が整っておらず、車の轍ができていたり、歩行者それぞれに踏みしめられたでこぼこの歩道となっていたり、雪仕様ではない普通のビジネスシューズで雪道を歩くのは何かと大変です。

 

テレビのニュースで、雪道を歩くときには、ペンギン歩きがよい(両手には何も持たずポケットから手を出して(バランスを取って)、歩幅を小さくして歩く)と紹介していました。

 

私は、雪深い地域で育ったため、雪道を歩くことには慣れていますが、都会で大雪が降って除雪もされていない道を歩くのにはやはり苦労します。

 

雪道を滑らずに歩くには、一般的に言われているように歩幅を小さくして歩くことが有効ですが、上から雪を踏みしめるようにして歩くと滑らず安定して歩くことができます。

 

 

 

 

 


雪国育ちで思い出しましたが、雪深いところで育ったという話題が出ると、ほとんどの人は冗談で、しかし、時には冗談ではなく本気で、冬場は家の2階から出入りして、学校への通学はスキーで行くんでしょ?と聞かれます。

 

もちろん、2階から出入りするなんてことはありませんし、きちんと除雪が行き届いており徒歩で通学できますので、スキーで通学するなんてこともありません。

 

 

 

 

 


都心では積雪があっても数日で溶けてしまいますが、今日の時点ではまだ雪が残っているようです。

 

外出する際には、雪で転んで怪我をすることのないよう、お気を付け下さい。
 

 

(雪国育ち)

更新日2018.1.23


個人根保証人等の責任範囲の制限

 

ー極度額・元本確定ー

 

1 根保証契約とは

 

 

 

 

根保証契約とは,一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約のことをいいます(現行民法465条の2,改正民法465条の2)。つまり,根保証契約は,あらかじめ定めた主債務の範囲に属する限り,保証時に未発生の債務であっても,また債務の個数や個々の債務の額が決まっていなくても保証の対象とすることができます。

 

たとえば,不動産の賃貸借契約に基づく賃借人の債務を保証することは,一般的には,賃貸借契約に基づく債務という範囲に属する不特定の債務(継続的に発生する賃料・更新料債務,原状回復義務など)を包括的に保証することであり,根保証契約とされています。

 

 

 

 

 

 

2 個人根保証契約・個人貸金等根保証契約

 

 

 

   改正民法は,このような根保証契約のうち保証人が法人でないものを「個人根保証契約」とした上で,現行民法下の貸金等根保証契約(個人根保証契約のうち主債務の範囲に貸金等債務,つまり金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務が含まれるもの)を「個人貸金等根保証契約」と改めました(改正民法465条の2465条の3)。

 

 

 

 

 

 

3 個人根保証人の責任範囲の制限

 

 

 

   現行民法下では,根保証人の責任範囲を制限するための極度額や元本確定(元本確定が生じると,保証の対象がその時点で存在する主債務のみに限定されます)に関する規律は,個人の貸金等根保証契約に関するものに限られています。

  

   これに対し,改正民法は,個人根保証人の責任の上限を予測可能なものとするとともに,著しい事情変更があったといえる定型的な事象が生じた場合にそれ以後の責任の拡大を防止するため,すべての個人保証契約につき,以下のとおり,極度額や元本確定に関する一部規律の適用範囲を拡大しました。

 

 

(1) 極度額の定めの有効要件化

 

 

   改正民法は,すべての個人根保証契約について,書面又は電磁的記録による極度額の定めを有効要件とし,これを欠く個人根保証契約は無効としました(改正民法465条の2)。

 

 

(2) 元本確定事由の規定

 

   また,改正民法は,貸金等根保証契約についての元本確定期日の定めに関する規律をすべての個人根保証契約にまで拡大することは見送ったものの,すべての個人根保証契約について,?債権者が保証人の財産に対する金銭債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき(ただし強制執行等の手続の開始があったときに限ります),?保証人が破産手続開始決定を受けたとき,?主債務者又は保証人が死亡したとき,のいずれかの事象が生じたときには,元本が確定すると規定しました(改正民法465条の41項。貸金等根保証契約に関しては,同条第2項にも元本確定事由を定めており,現行民法の実質的な改正はありません)。

 

 

(3) 実務上の注意

 

 

   したがって,改正民法施行後は,貸金等根保証には該当しない個人根保証を取り付ける場合(不動産賃貸借契約に際して,賃貸人が賃借人の同居人や親族,賃借人法人の代表者といった個人から保証を取り付ける場合など),賃貸借(保証)契約書に極度額の定めが漏れていないか,契約後も元本確定事由が生じていないかなど十分注意する必要があります(極度額は,取引額,他の担保の有無,主債務者の信用力などに応じて決めていくことになるでしょう)。

 

 

 

 

 

 

4 個人の求償権保証契約

 

 

 

   現行民法下では,債権者・法人根保証人(保証会社など)間の根保証契約において極度額の定め又は一定の規律に従った元本確定期日の定めのいずれかがないときに,法人根保証人の主債務者に対する求償権について締結された個人保証契約(以下「個人の求償権保証契約」といいます)を無効とする規律の適用範囲は,上記根保証契約の主債務の範囲に貸金等債務が含まれる場合に限られています。

 

   これに対し,改正民法は,上記規律のうち極度額に関する規律の適用範囲をすべての個人の求償権保証契約に拡大し,貸金等債務に関するものに限らず,債権者・法人根保証人間の根保証契約において極度額の定めがないときには,個人の求償権保証契約を無効としました(改正民法465条の5)。

 

   貸金等債務に関するものを除けば,法人根保証人が関与するのは主債務者が保証人をつけられない場面が多いと思われますので,今回の改正によって影響を受ける取引は多くないかもしれませんが,上記改正は,個人保証人の保護を徹底するために上記3?の改正の趣旨をすべての個人の求償権保証契約に及ぼしたものとされています。

 

 

 

(弁護士 59期 弁護士  眞 鍋  洋 平)

更新日2018.1.23


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